不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 

 登録しといた方が便利だろ、と押し切られ、指紋登録の儀式を行うことになった。

 寒い中、手をとられ、登録する場所に指を押し付けられる。

 だが、上手くいかなかったようだ。

「乾燥しているのかな」
と言いながら、耀は和香の右手を両手で包み、寒い日に、子どもの手を温めるように、ふうっと息を吹きかける。

 伏し目がちになると、まつ毛の長さとか、切れ長の目の美しさとかが際立って見えた。

 ……なんか。

 ドキドキするんですけど。

 さすがの私でも、どきどきするんですけどっ、
と思いながら、和香は耀に手を握られていた。