不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「ポン酢も買えばよかったですね。
 あ、あと、炭酸水も買えばよかったですね」

「……帰る前に言え」

「……今思いついたんです」

「買ってこようか。
 いるものを忘れないよう、メッセージで送れ」

 忘れないように、と耀は言う。

「あー、いえいえ。
 ちょっと思いついただけなんで、大丈夫ですよ」

「いや、行ってくる。
 魂は買ってこられないが……。

 お前、先に入ってろ。
 ああ、まだ指紋登録してなかったな」

 今から指紋登録の儀式をするか、と耀は言い出した。

 いや、儀式ってなんですか、と和香は思う。