不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 玄関の灯りだけがついている。

 その柔らかなオレンジの光に照らし出された白い家を見ていると、不思議な感じがした。

 図書館の前という理想的な立地の、理想的なおうち。

 ここに自分が頻繁に足を踏み入れる日が来るなんて。

 この町に引っ越してきた日は思わなかったな、と思う。

 しかも、隣には王子様。

 図書館の王子様。

 恋には落ちまいと思っているが、王子様。

 王子様はエコバッグを手に言う。

「買い忘れたものはないか?」