不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「……エビフライというのは、マヨネーズを合法的に食べるためのものだと言った男がいたな」

 あなたは何故、そんな重々しい口調で、スーパーの惣菜を前に語っているのですか。

 なにかの伝説の幕開けのような口調だ。

「マヨネーズをエビフライにつけて食べるんですか?
 あ、タルタルですかね?」

「いや、あいつは、ほんとうに普通のマヨネーズをつけて食べていた。

 マヨネーズを大量に食べたいがために、言い訳として、エビフライを使っている感じだった。

 エビフライは最早、マヨネーズをのせるための道具のようになっていた。

 ちなみに、その男、時也という名前なんだが」
と言うので、笑ってしまう。

「そういえば、子どもの頃、お醤油をたっぷりご飯にのせたいがために、白菜漬けを食べてましたね。

 それでお母さんに……」

 一瞬、幸せだったころの我が家が記憶の中によみがえった。

 だが、
「そういえば、俺もやってたな、それ」
と暗くなる前に耀が言ってくれる。