不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 ――しかし、二人でスーパーでお買い物しておうちに帰るとか、まるで夫婦のようではないですか。

 耀がカートを押してくれ、和香は食材を眺めていた。

 なんか逆の方が効率がいい気もするんだが……。

 ナイフの技術はともかく、料理の腕はたぶん、課長の方がいいもんね。

 そんなことを思いながら、和香はフルーツのコーナーを眺めていた。

 このカットパイン美味しそうだな、オレンジ色で。

 すごく熟してそう、と思いながら、和香は、なんとなく値段のところに書いてある文字を読んだ。

「フィリピン風カットパイン」

「フィリピン風のカットパインってなんだ……?」

 どの辺がフィリピンな感じなんだ?
と横から耀に覗き込まれ、改めて見直す。

「あ、フィリピン産カットパインでした……」

 すると、近くで買い物をしていた子連れの夫婦がちょっと笑った。

 なんとなく笑い合う。

 ……もしかして、同じような夫婦に見えているのかもしれませんけど、違いますよ、と思いながらも。