「あっ、いたいた羽積さん。
ごめん、ゲスト用のIDカード、さっき渡すの忘れてた~」
と言いながら、辻井が一階の渡り廊下を走ってきた。
「すみません、辻井さん。
ありがとうございます」
と羽積は、和香が見たら、
「誰っ!?」
と叫びそうな爽やかな顔で微笑んだ。
「今、カートを押して行かれた方、社長室の方でしたっけ?」
羽積が耀が消えた方を見ながら問うと、辻井もそちらを振り返りながら、ああ、と笑う。
「そうそう。
秘書課の神森課長。
若くして課長になったのに、全然偉ぶったりしないんで。
仕事には厳しい人だけど、人気あるんだよ。
特に最近、運動不足だからって、よく物運んでくれたりするんで、さらに人気が上がってる」
と言って、辻井は笑う。



