不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 明るい色の、肩より少し下くらいの長さの髪。

 柔らかなウェーブがついている。

 顔はあまり見えないが、肌の白いその女は、すうっと音も立てずに階段を上っていく。

 霊!?
とそんなもの見たこともないのに思ってしまった。

 誰がどう上がっても、カンカン音がしそうな鉄製の外階段だったからだ。

 その女の霊(?)は和香の部屋の前で止まった。

 チャイムも鳴らさずに扉を見つめている。

 中の気配を感じようとしているのか。

 生活音を聞いているのか。

 じっとしていた。

 なにやら不安になり、耀は路肩に寄せていた車を降りて、そっと近づいてみた。