悪そうな人には見えないんだがな……。
耀は社長の許を訪ねてきた専務が出てくるのをデスクから眺めながら、思っていた。
――常務ほど愛想良くはないが。
家族で旅行に行くたび、自分のような下々の者にまで、気を使って土産をくれたりするしな。
と和香たちが聞いていたら、
「課長が下々の者なら、我々は一体、なんの者なんですっ!?」
と叫び出しそうなことを思う。
そのとき、
「これ、企画事業に戻しといて」
と室長が近くにいた新人の女性社員に言うのが聞こえてきた。
「あ、私、ついであるので持っていきますよ」
と言って、耀は立ち上がる。



