不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「そうか。
 すまんな。

 そのまま上に伝えておくよ」

 そう言って、羽積は家に戻って寝たようだが。

 きっと私が、コト、と音を立てても飛び起きてくるんだろう。

 因果な商売だな、と思いながら、部屋に入った和香はベランダを開け、夜の空気を吸い込んだ。

 隣の羽積の部屋からは、なんの物音も聞こえてはこなかった。