不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 和香は紅茶を飲んでいたが、店内には、珈琲のいい香りが漂っていた。

 一冊だけ車から持ってきた、今、借りたばかりの古くて厚みのあるミステリー小説がテーブルの上にある。

 うん。
 ほんとうに落ち着くいい空間だ。

 夕暮れの光が藤棚の隙間から差し込んでくるのを見ながら、今日はほんとにいい休日だったな、と和香は思った。