不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「わ……和香」

 決意を秘めた目をしている和香。

 和香と呼ぶだけでうろたえる自分。

 このままではこいつに負けている気がする、と思った耀は勇気を振り絞って言ってみた。

「日曜だから、このあと、何処かに行くか?」

 できるだけさりげなく、と気をつけながら誘った自分に、和香が小首をかしげながら言う。

「日曜で何処かへ行くと言うと――

 図書館?」

「図書館もいいな。
 だが、この間行ったし、他にはないか」

 このままでは、ふたりの思い出の場所が、すべて図書館になってしまうっ、と耀が思ったとき和香が言った。