不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 話が一区切りついたところで、母は紅茶を一口優雅に飲み、

「面白いわね、和香さんのお話」
と言った。

 ……面白かったですか?

 今日は肌の調子の良さそうな、その目元も口元も、ぴくりとも動きませんでしたけど。

 というか、それ以外にも気になることが……と思いながら、耀は訊いてみる。

「何故、『和香さん』」

 そこは、冷ややかに、石崎さん、とか呼びかけそうなものなのに。

 というか、俺ですら、まだ名前で呼んでないのにっ、と思っていると、

「あら?
 だって、この方、あなたのお嫁さんになるんでしょう?」
と母は言う。