不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「肌の調子が良いか悪いかで、あの人の機嫌はずいぶん違うんだ」

 さっき別件で電話したが、駄目そうだった、と言って、
「電話越しに肌の調子がわかるんですか?」
と問われる。

「調子がいいと、声が弾んでいるのですぐわかる。
 それにしても、母はどうも、お前のことを怪しんでいるようなんだが――」

 息子に近づく女を警戒している、という以上のものを感じた、と言うと、和香が感心したように頷いて言う。

「女の勘は凄いといいますからね」

 その言い方に、

 ……お前は女ではないのか、と思ってしまった。