不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 


 もしも、時間が戻せるのなら、何処まで戻したらいいかな、と耀は思っていた。

「困ったことがあるのなら、手を貸そう」
と言いながら、和香の手を握ってしまったところまでか。

 ……いや、二、三秒前のできごとなのだが。

 それか、
「なにかわけでもあるのか」
とうっかり訊いてしまったとこまでか。

 いやいや、それとも、和香が最初に、ここへ泊まった日の呑み会の前までか。

 あのとき、時也の誘いを断るべきだったのか。

 それとも、部長の盃を断って、酔わないようにするべきだったのか――。