「何故、しゃべる……」
と嫌そうに耀は言う。
「いや、訊くからですよ」
と和香は答えた。
「普通、そこで言葉をにごすもんだろう」
「まあ、普通はそうなんですけど。
課長には、二宿何飯かの恩義がありますので、しゃべりました」
「いや、そんな恩義はいらないから……」
と言ったあとで、耀は、待てよ、と呟く。
「もしかして、俺が酔っていると踏んでしゃべったのか?
明日には忘れていると思って」
「いえ、そうではありません。
実は、この家に入ってからずっと、課長を観察してたんですけど。
この話をするためにか、最初から、あまり呑んではいらっしゃらなかったようですね」
そう言うと、耀は何故か機嫌が悪くなる。



