不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 マダムは窺うように和香を見ていた。

 そのままなにも言葉を発しないので、耀が和香に彼女を紹介する。

「母だ」

「可愛らしいお嬢さんね」

 まるで耀が紹介するのを待っていたかのように。

 耀の言葉に被せるように彼女はそう言った。

「今度、うちに遊びにいらっしゃい」

「ありがとうございます」
と和香は頭を下げた。

 そのまま耀の母は行ってしまう。

 振り返りながら和香は呟いた。

「課長は女装も似合いますね」

「今の一連のやりとりの感想がそれかっ?」
と言われたが。