不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「ああでも、課長はお金持ちですよね」

「別に金持ちじゃない。
 でも――」

 会社から近いそのスーパーの前まで、結局、和香を連れてきていた耀は呟く。

「……あれが出そうだ、こういうスーパー」

 ちょっと小洒落たその建物を見ながら思う。

 まあ、二、三度来たけど、出なかったしな。

 ……と思って、油断した。

 それは向こうからやってきた。

 たいして物の入っていないカゴを手に、優雅な仕草で果物などを見ている。