不埒な上司と一夜で恋は生まれません



 和香は元ではなく、現役のFBIの人間で。

 これは潜入捜査なのかもしれない。

 だったら、いつの間にか消えてしまうかもしれないからな、と思い、急いで、和香を誘った。

 いや、もちろん。
 あれは和香のジョークだったようなのだが。

 ほんとうにFBIなのかもしれないという、とんでもな理由をつけても、和香を誘いたかったので、ともかく誘った。

 すると、このFBIはFBIのくせに、
「いいですよー」
とひょこひょこついてきた。

「家呑み、おつきあいしましょう」
と言って和香は笑う。

「そうですよね。
 家呑みがいいですよね。

 酔ったら、すぐに寝られますもんね」

 弱い課長にはピッタリですよね、とは言わずに、和香は、そこで、ただ微笑んだ。