不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「早く食べろ」
と言われて見た皿には、花のように切られたオレンジも盛ってあった。

 いつの間にやら、技を盗まれていたらしい。

「うむ。
 免許皆伝だ」
とか課長に言ったら、殴られるだろうな、と思いながら。

 いただきます、と言って、サクッとトーストを噛んだとき、耀が言った。

「二晩も一緒に寝たんだから、もう結婚してもいいだろう」

 なんか昨夜も聞いたな、と和香は思う。

 あのあと、和室に布団を敷いてもらって寝たのだが――。

 まだ、その話題、終わっていなかったのか、
と思いながら、和香は食べかけの朝食を見て言った。

「これだけいろいろしていただいたので、なにかお礼をしなければなりませんね」

 少し考えたあとで、和香は言う。