不埒な上司と一夜で恋は生まれません

 失礼して、とか言わなくていいんだぞ、と他人行儀な和香に思うが。

 よく考えたら、まだ他人だった。

 直属の部下ですらない。

 ……呑み友達くらいかな。

 まあ、楽しく酔う呑み仲間という感じではないが。

 酔ってんの、俺だけだからな……。

 そう耀が思ったとき、和香がガランとした食器棚を覗いたまま、ちょっと不思議そうに言った。

「素敵なおうちで、なにもかも整ってるのに、意外にお皿は少ないですね」

「だって、一人暮らしなのに、いらないだろ? 皿」