二人を見送って、ベアトリスは息をつく。


加護に相手を閉じ込める方法はエリアーナから学んだものだ。裏庭でエリアーナが球体にパクンを封印していた。



何かを守る障壁は、

逆に何かを閉じ込めることもできる。



ベアトリスは危機を前に、ぷるんを存分に使いこなせる発想力を進化させていた。



ベアトリスは監視塔のてっぺんで叫ぶ。


「ぷるん様!加護対象をカオスに変更ですわ!

加護の通り抜けを中からも外からも一切禁じます!」

「ぷるーん!!」


ぷるんが魔王城の加護を解いた瞬間、すぐにカオスを取り込む。カオスは生温い感触に首を左右にきょろきょろ揺らした。


違和感が気持ち悪いのか、身体をばたつかせて魔王城から後退する。


魔王城に密着していたカオスから少し距離を取れて、ベアトリスは息がしやすくなった気がした。


だが、カオスはまた真顔で変わらずにぷるんの体内を齧り始める。


やっていることは終始無策でアホだが、じわじわと確実にぷるんにダメージが蓄積されている。


シンプルな力ほど脅威だ。


「ぷるるるー」


我慢を示すぷるんの声が苦し気に聞こえてくるようになっていた。心なしか、薄青いはずの身体が灰色がかって見える。



ぷるんの限界が先か。

封印が先か。

時間との勝負だ。