例の写真週刊誌に関しては、普段の温厚な清海さんらしくなく、訴えるのなんのと、電話でもかなり激怒していたが、あのテの週刊誌を相手にしても、時間とお金の無駄になる気がしている。

もっとも、落ち込む清海さんを宥めるために、訴えてもいいのではと、最初に言ったのは私ではあるが。

なので、私は憤る清海さんを再度説得し、訴えるぐらいなら、公式ホームページに真実を書いたほうがいいと提案したところ、

「判ったよ。でもそれは、海香子ちゃんのご両親に挨拶も済ませてからのほうがいいよね」

あっさり納得してはくれたけれど…。

ここに引っ越してきて、初めての帰省が、まさかそんな話になるとは、想像もしなかった。

もう、ずいぶん長く一緒に過ごしてきたようだが、知り合ってからカウントしても、まだほんの数ヶ月だ。

私は、両親とはうまくいっているが、あまり地元に帰りたくはない思いがある。

今もまだ、心の何処かで、都落ちしたことを恥じているから…。

大好きな清海さんが、何も恥じることなどないと言ってくれたからといって、ハイわかりましたと、気持ちを切り替えられるほど、人というものは単純ではない。