梅雨が明け、夏本番を迎えた。

とても嬉しいことがある。

初めての家庭菜園で植えた野菜たちの実が、無事に生ったのだ。

「ねぇ、収穫してもいい?」

清海さんに尋ねると、

「もちろん!僕は家庭菜園に関して無知だし、海香子ちゃんも初めてだったから、正直あんまり期待してなかったけど…海香子ちゃんが大事に育ててくれたお陰だね」

そう言われ、嬉しくも照れてしまう。

清海さんの憧れる自給自足に、少しだけでも近づけただろうか。

それにしても「画伯のアシスタント」という肩書と、現実にやっている仕事内容のギャップには苦笑いだ。

もしこれが求人情報なら、私のしていることは、雑役や用務員といったところだと思う。