時折、自己嫌悪に陥りそうになる。

今までずっと、海香子ちゃんのことは、純粋な人魚姫のようだと思って見てきたし、それは今も変わらないと言えば変わらない。

しかし、実際の彼女は、既に東京でのOL生活を経験している大人だ。

初めて見た時には、まさか成人だとは思わず、無邪気で可愛らしい少女だと思いこんでいた。

都会で傷ついた彼女が、また自信を取り戻せるように、社会復帰への一助になりたかった…それも紛れもない本音だ。

ふと、純粋な人魚姫が…一瞬だけ“痴人の愛”のナオミのように見えた。

思えば、このシチュエーションだって、そうだ。

それこそ友達や兄妹のように暮らし始めたつもりなのに。

「もしも私が人魚姫なら、清海さんは何?王子様?」