森宮「ほら、行くぞ」


ミナの手からガイドブックを取ると、代わりにヘルメットを渡した。


ミナは初めてのバイク。

不安そうな表情に気がついた森宮。

森宮「怖いか?」


ミラー越しに私を見た森宮はそう聞いた。


音瀬「ちょっとだけ」

斗亜「斗亜に捕まってろ」

音瀬「え、斗亜に!?」


名前呼びを許可されたようで、嬉しくてミナは笑顔になった。


その数秒後、エンジンがかかり、その振動に驚いたミナは斗亜にしがみついた。



斗亜「行くぞ」



この一言にはいろんな意味がこもっているだろう。


もう、後戻りはできない。

2人で遠い場所まで行くんだ。

逃げるんだ。


音瀬「うん」

音瀬は真剣な眼差しで頷いた。