森宮「俺と逃亡するか?」


さらに、森宮は知らない表情をした。

切長な目は光がなく、いつにも増して冷酷。

でも口角は少し上がっている。


冗談のようなことをそんな表情で真剣な声色で言った。


ミナはそんな森宮の表情を数秒見つめた。

音瀬(この人に信頼も信用もない。

むしろ、弱みを握られている人だ。

なのに、その提案に引き寄せられている自分がいるのはどうしてなの)
  

音瀬は森宮と目を合わせて、頷いた。


音瀬は冷たい瞳をしていた。

訳も何もわからなかったけど、どうしようもない今から逃れたい。その思いを叶えるのはこの人に森宮に賭けるしかないって思ったんだ。