「ただし、運営の都合上、マチヒロは1番手、私は最後に回ります。そして、このペアじゃ困るだとか、この順番じゃ嫌だとかの我が儘は一切受け付けません。それじゃ、2年生から五十音順に引いて行って。」


あえて、くじ引きにして、このバ-ベキュ-の時に実施したのは、一種のアトラクションとして位置づけようとしたからだが、狙いは見事に当たり、くじが引かれるたびに、一喜一憂、歓声と悲鳴が上がる、大盛り上がりとなった。


やがて、1年生の順番となり、段々とペアと出発順が決まって行く。そんな中、ラストの出発となる彩のパ-トナ-はまだ決まっていない。


(そのくじは俺が引く。)


それまで絶対誰も引くな、そう念じていた尚輝は、遥に名前を呼ばれると、気合を入れて、くじを引き、それを遥に渡す。開いて中を確認した遥は、フッと複雑そうな表情で彩を見ると


「二階くんは、最終出発。主将とペアになります。」


と発表し、ドッと声が上がる。尚輝の彩へのアタックぶりは、当然みんなの知るところ。そんな声に、ガッツポ-ズで応えた尚輝は


「主将、よろしくお願いします!」


と深々と一礼。そんな尚輝に


「こちらこそ。」


彩は特に表情を変えることもなく、そう答えた。


肝試しは、宿舎の裏手にある約15分程の山道を歩いて一周する。途中にあるチェックポイントで、通った証として、置いてあるカ-ドをピックアップするのがルール。


そして、ペア決定から約30分後


「先輩、私を置いて行かないでくださいね。」


「そんなことするわけねぇだろう、さぁ行くぞ。」


「は、はい。」


おっかなびっくりな様子の1年女子と町田のペアがスタ-トして行った。