「でも、2か所で式なんて大変だね。打ち合わせだって2倍じゃない。」


この日、打ち合わせに現れたのは、遥1人だった。正式な辞令が発令されて、町田は慌ただしく赴任して行き、今日は引越しの後片付けに追われて、無理とのことだった。


「ううん。地元の方はあくまでお披露目式だから。2次会のちょっと堅苦しいバ-ジョンみたいなもの。費用は浩人の実家の方で持ってくれるって言うし、式次第なんかは全部お任せしちゃうから。」


「そうなんだ。」


「私的には、もう1度ウェディングドレス着られてラッキ-かなって感じ。ま、当日は町田家の嫁をつつがなく務めてまいります。いうことで、私たちの結婚式はあくまで、こっちだから。費用もこちらは、当然自分たちでまかないますから、よろしくお願いしますよ。廣瀬プランナ-さん。」


そう言って、笑った遥に


「はいはい、心得ております。先日、お渡しした見積もりから、更にお友だち価格で頑張らせていただきました。その他のサービスも考えておりますので、こちらこそ、よろしくお願いいたします。香田様。」


と彩も返して、思わず2人で笑ってしまった。


「ということで確認だけど、日取りは10月の大安吉日をご希望通り、押さえてあります。時間は11:30スタ-ト。この間も説明した通り、ウチは1日4コマあるんだけど、この時間が、一番いい時間だと思います。」


打ち合わせが始まった。今日は2人だけと言うことで、余計いつもの友達のノリになってしまいそうになるが、周りの視線もあるので、敬語とタメ語が混じる、やや珍妙な言葉遣いで彩が切り出す。


「わかった、ありがとう。あと5ヶ月・・・か。」


「そうだね。準備期間としては、普通だと思う。だから、焦らずやって行きましょう。」


「うん、よろしくね。」


「マチヒロは、なかなか来られなそう?」


「ううん。土日は基本的に大丈夫なはずだから。次回からは来られると思う。」


「わかりました。ゲストは90名くらいって、こないだ言ってたよね?」


「でも、両家とも親兄弟以外の親族は、たぶんみんな地元の方に回ると思うから。少し減るんじゃないかな。」


「じゃ、そこらへんは、早めに教えてちょうだい。」


「わかった。」


こうして、打ち合わせがスタ-トした。