バタンと扉が閉まったのを確認して、早歩きで玄関へ向かう。


長い。長過ぎるよこの廊下!


走りたい気持ちは山々だけどこんなお屋敷でダッシュするわけにもいかないし。


早く外に出たいのにっ。



やっとの思いで玄関ホールにたどり着き靴を履き替えていると、どこからともなく榎田さんが姿を現した。


「高沢様、お帰りですか?」

「あ、はい。長居してしまってすみません。あ、ケーキごちそうさまでした。とても美味しかったです」


一刻も早くここから立ち去りたいけれど、お礼だけはちゃんとしなければと、振り返って榎田さんに頭を下げた。


「お口に合ったようで、幸いでございます。またお会いできる日を楽しみにしておりますね」

「あ・・・はい。お邪魔しました」


優しい笑顔でそう言ってくれた榎田さんにまた頭を下げ玄関を出た。



キィ〜〜ガシャンッ


敷地を出ると門がゆっくりと閉まった。


私はその場で振り返り、それを見届けていた。


ふう、と息を吐く。


そう。これが正しい。


門が閉まったことで、しっかりと線引きされた気がする。