御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい


 「水川さん、お疲れ様」

 「あ、社長。お疲れ様です」

 「コマーシャルのときより、ずっといいわね。色にも統一感があるし、キッチンもおしゃれだわ。あなたのセンス最高ね」

 「ありがとうございます。センスというより、ここは私の夢そのものなんです。この仕事は本当に幸せでした」

 「それって……結婚後の夢ってこと?」

 「はいそうです。実際は十五年以上前から考えていた感じです」

 「ええ?!そんな前から結婚願望があったの?」

 「そうじゃなくて、台所願望。キッチンに家族で立つのが私の夢だったんです。ちょっと変ですけど……」

 「そうなのね。そういえば、あなた料理がすごくうまいんですって?英嗣がお手伝いさんよりうまいって言うから驚いて。あの子は一応栄養士の資格とか持っているのよ」

 「あの子って?」