「小出さんって専務の秘書?もしかして、社長の奥様のお兄さんの?」 専務を見つめて小さい声で聞いた。彼が気にしている専務ってあの人でしょ。小出さんも近づいて小声で答えた。 「そう。あのおじさんよ」 びっくりして笑ってしまった。 「小出さんも面白いね」 「いいなー、水川さんは椎名取締役の秘書なんでしょ、本社一緒に異動するの?」 「まだわからないです」 ついてきて欲しいのかも知れないけど、私は今の部署が好き。 「ついてこないなら、私が椎名本部長の秘書に立候補しようっと」 「えええ?」