電車に揺られ、辿り着いた駅前のロータリーを抜け、街路樹が間隔良く植えられた歩道をひとりで歩いていれば、同じ制服を身に纏う生徒が校門へと吸い込まれるように歩いていく。
漏れなくあたしもその中の一人となる。
二階にある玄関まで階段を登るのが毎朝少しの苦行。ほんの少しだけ弾む心臓も、玄関までの短い距離で元通りとなる。
靴箱で出会したクラスメイトがあたしを見て「おはよー」声を掛けてくれるので「おはようございます」未だ、挨拶ひとつ慌てて返せば、その子は別のクラスの生徒と思われる友人と共に背を向けた。
上まで一緒に行こうって、言えばよかったかなぁ
烏滸がましい気持ちを押し込めて、自分のロッカーへと手を伸ばした。
ガチャン、冷たい金属の音。
踵を揃えたローファーを置いたその時
「…………んん?」
中に鎮座していたのは、見慣れない紙切れだった。
もう一度戸を閉めてネームを確認する。間違いない、自分の靴箱だ。
んん?と、再度首を傾げた。



