恋花ロマンチカ



その日の"ルール"も、朝いちばんだった。


お弁当の準備をしているところ"ねむくて死にそう"とか意味不明なメッセージが届いたものだから"どうぞご自由に"そんな返事を返して、一日分が終了だ。

あぁ、なんていい日。

心穏やかに過ごせることが、こんなにも素晴らしいだなんて、知らなかった。

鼻歌なんて歌いながら、全身全霊で喜びを表現し、お弁当をランチトートに仕舞い込む。いざキッチンを出ようとすれば、突然、壁にぶつかって後ろに仰け反った。

「ったぁ……」

正面にあるのは壁、ではなく朝っぱらから不機嫌を顔全面に乗せた男なわけで。

あたしの顔を見ては、眉間に皺を寄せて、ため息を吐くし、さらにはひとこと。

「まじでうぜぇ」

朝から聞き取りにくいハスキーボイスが嫌そうに捨て去るから「はぁ?」と、臨戦態勢をとる。

だけど、お兄ちゃんは何も言わずにバスルームの方へ行くので、あたしも電車の時間を思い出して、急いで家を後にした。



あたしが毎日憂鬱だとすれば、兄は毎日ご機嫌ななめ。万年カルシウム不足だと思う。今夜の晩ご飯はシチューをママにお願いしようと思う。