ツンと唇を尖らせて再度渡り廊下を見ても、そこには誰も居なかった。
なんだか肩透かしにあった気分だ。
……て。何こんな簡単に振り回されているんだ。片桐先輩のことは、本気だと思っちゃダメだ。
遊んでるだけ、遊んでるだけ、
心で念仏みたいに唱えて、書いた数字を囲うようにものさしで綺麗に線を引く。
「相沢、くじ出来た?」
「あ、ごめん、もう少し待って」
「手伝うねー」
碓氷くんは向かいに腰かけると、あたしのペンケースからペン型のハサミを探し当て、ザク、と、ルーズリーフに刃を通す。
……とにかく、あたしは好きな人作ればいいんだ。
超がつくほどの難問を解決に導く、分かりやすくて、手っ取り早い方法。
片桐先輩との線引きを可能にする手段。
そう、あたしは簡単に出来ると思った。
だって、好きな人って、それまであたしの脳内で散々話し合っていた議題だったから。
……何も問題はないと思った。あたしは忘れていた。
たった、それっぽっちが出来なくて、あんなにも悩んでいたっていうのに。



