恋花ロマンチカ

……なに、話してるのかな。

もしかして、片桐先輩と仲良いのかな。

ちっぽけな疑問を脳内に浮かべて、机の上にルーズリーフを用意した。ちら、と、再び首を横に傾ける。

…………あ。

手摺りに寄りかかり、気だるげにしていたその人と視線がぶつかった。

彼は先程と似通った簡単な笑顔を表情に乗せて、ひらひらと手を翻すので、すぅ、と視線を逸らせば、対角線上にその人がいるから必然的に視線が重なる。


刹那、慌てて目線を落とすと、自分の作業に戻る。


……悪いとか、駄目とか。面と向かって言われたわけじゃない。でも、ぎこちなく過ぎ去った長い年月が"常葉先輩"とは話しちゃいけない、そういう決まりを作り上げた。

少しの寂しさを胸に抱いていれば、ポケットが震えた。

送信元は、片桐先輩だった。

"口あいてたよ"

だからあたしはむっとして返事を打った。

"今ので今日の分終わりですからね"

"夜電話するねー"


終わりって、言ったのに。

あたしの言葉を呑み込んで、難無く自分のペースを作ってしまうから、知らんぷりをしてスマホをポケットに戻した。