「目の保養……今日も可愛い……」
「いつも一緒にいるあの黒髪のメガネは何なの?」
「でも、おかげで美しさが際立つし、良くない?」
「片桐先輩も加わったら最強なんだけどな」
「……あとは、」
「────相沢《あいざわ》」
女子生徒の会話に乗る、別の声。泡のように漂っていた意識がぱちんと弾ける。
あたしを呼んだのは同じクラス委員の相方、碓氷《うすい》くんだったので「どうしたの?」と、首を傾げた。
「次のHR、席替えだから勝手に進めてろって」
「わかった。クジ作るね」
「じゃあ俺、席順書こ。つぎ席替え〜」
閉塞的で、騒がしい部屋に行き渡るほど、碓氷くんの声は良く通る。
まじで、キタ、教室内には次々に歓声が生まれる。窓側に位置する自分のテリトリーに戻りひと息つけば、視線はほぼ無意識のうちに渡り廊下に移動した。
二人だったはずのそこにはもう一人が増えて、三人でなにかを話していた。



