恋花ロマンチカ


「何がしたいんだろうね、あの人」

セリナが頬杖をついて、窓の外をみた。

「からかって、遊んでる」

「でも、悪い人じゃなさそう」

「……まだよくわかんない」

「唆したのうちだからさ。なんかあったら言いなよ」


その言葉は、何かを彷彿させた。そうだ、片桐先輩も同じこと言ってたな。


「あんた意外とメンタル強そうだけど、どうしてもって時」

くるくるとセリナの人差し指が下に向く。その指先は、あたしの足元を示していた。

刹那、心臓が嫌な音を鳴らすから、上靴の中でつま先を丸めた。



「……幼なじみが、居てね?」


気を逸らそうと、なんとか話題を探し当てた。「幼なじみ?」彼女はまんまとそれに乗ってくれるので、小さく頷く。


「お兄ちゃんの友達と、昔よく一緒に遊んでたから。それで鍛えられたんだ」


何とか、へらっと笑顔を作る。

だけど、ちく、ちく、あの二人のことを零すと諸刃の剣、いつも細い針で心臓の端をつつかれてしまうのだ。