恋花ロマンチカ

セリナは企んだように目を細めて、ぐい、と、顔を近付けた。

「彼氏がいるのに、他の男に目移りするの、世間的にはなんて言う?」

あたしの頭に染み込む、なんて易しいなぞなぞ。

「……浮気だ」


浮気だ、浮気だ…………脳内でエコーをきかせた言葉が、何度もループする。


「で、彼氏は浮気禁止」

「……は、はぅ!?」

「しかも片桐先輩みたいな彼氏居てさあ」


どん、どん、と、更に心に言葉が積み重なった。なんとかこれを、振り払わなければ。


「でも、言い出しっぺは片桐先輩だよ!?そ、それに、ルールも決めたの」

「ルール?どんなの?」

「必要以上に近寄らないとか、不必要に呼び出さないとか、LINE1日一通とか、」

「最早他人じゃん」

「他人で良いの。目立ちたくないし」

「それをいいって?」

「……笑われたけど……」


悔しくてぼそぼそと小声になれば、セリナは再び肩を揺らした。