それから……。

「まあ、海は、母さんのためっていうよりは、自分の罪滅ぼしのために『たいようの家』をつぶしたくないのかもしれないけど」

 と、付け足すみたいにボソリとつぶやいた。

 その声が、やっぱり冷たくて。なんだかとても気になってしまう。

 わたしの勘違いでなければ、空が冷たい反応をするのは、いつも海くんが関わっているときだ。空が『たいようの家』のことをどうでも良さそうに話すのも、海くんがなにか関わっているせいなのかな。

「空がおとなになったら『たいようの家』を出て行きたいのって、もしかしたら海くんに関係がある……?」

 尋ねると、空が少し険しい顔でわたしを見てきた。

「それ、真凛に話す必要ある? 前にも言ったと思うけど、おれ、海のことだいっきらいなんだよね」

 海くんのことが「だいっきらい」だと言う空は、本気の目をしていて。そのまなざしの鋭さに、ドキリとした。

 空の目を見れば、自分が余計なことを聞いたんだってことがわかる。それから、これ以上、海くんの話を深く追求してはダメなんだってことも……。