「真凛は座ってな。持ってきてあげる」

「でも……」

「いいの。カレーの量どれくらいにする? ふつう? 少なめ?」

「じゃあ、少なめで」

「わかった。あ、暉は自分で取りにいけよ」

 そう言うと、空は調理場のほうに歩いていく。

「え、ちょっと待ってよ」

 置いて行かれた暉くんが、慌てて立ち上がる。すぐに空のことを追いかけようとする暉くんだったけど……。わたしと目が合うと、眉根を寄せてにらんできた。

 空がいるときは、にこにこ愛想の良い笑顔を振り撒いていたのに……。わたしをにらむ暉くんの目からは、なんとなく敵意を感じる。

「昔からの知り合いだかなんだか知らないけど、空くんに優しくされたからって調子に乗らないでね」

 暉くんはわたしのことが嫌いなのか、そんなふうに牽制をしてきた。