12月30日の昼過ぎ、朝陽の自宅。

「それで?……俺にどうしろと?」

23日が終業式で、クリスマスは母親と出掛ける用事があると言ってたから、初詣くらい誘おうかと思ってたのに。
電話を掛けても繋がらないし、メールを送っても返信は無いし。
また誤解を招くようなことをしたんだろうか?と思い返してみたけれど、思い当たることは何一つなくて。
結局、押し掛ける形で朝陽の家に転がり込んだ。

「長瀬にそれとな~くでいいから、小森が何してるのか聞いて欲しいんだけど」
「廉から、そんなお願いを聞く日が来るとはなぁ~」
「くっそッ」
「いいよ~、聞いてあげる。その代わり、来月の撮影時に顔出し無しでいいから付き合ってね?」
「……ん」

以前から朝陽がモデルをしているファッション雑誌の編集長から、是非とも撮らせてくれと頼まれている。
沢山の人に見られたいだとか、認めて貰いたいだなんて欲求は皆無だから、即決で断り続けて来たけれど。
止むを得ない。
顔出しは無理だけど、後ろ姿くらいなら我慢の範疇か。

朝陽が長瀬にメールを送る。
数分すると、長瀬から返信が来た。

「長瀬、今グアムにいるんだって」
「長瀬の現況はどーでもいい」

送られて来たグアムの写メを見せる朝陽。
フルーツてんこ盛りのスイーツの写真と海の写真が何枚も。

「あいつ、教える気ねぇだろ」
「まぁ、待ってよ。上手いこと聞き出してやるから」