12月24日の午前11時。
前日が終業式ということもあって、既に冬休みに突入しているまどか。
大きなトートバッグに参考書などの勉強道具をびっしり詰めて、羽田空港にいた。

年末年始はサービス業にとって繁忙期で、特にクリスマスは映画館にとっては超激務。
母親の仕事(兄の芸能プロダクションの事務兼マネージメント)も12月は激務で、まどか1人自宅に放置が出来ないから、母親の仕事現場に随行せざるを得ない。

今年のクリスマスは沖縄でのライブイベント。
年末年始は四国と九州で行われるイベントに随行しなければならないらしい。

まどかはいつもイベントには出向かず、ホテル内で勉強している。
舞台裏だなんて、忙しくて邪魔になるだけだ。

勉強するなら落ち着いて勉強したい。
けれど、文句も言えない。
両親とも私のために一生懸命働いてくれているのだから。

18歳で結婚した両親。
24歳の時に35年のフルローンで今の自宅を建てた。
若くして建てたマイホームは、私が後ろ指さされないようにと頑張って建てたものだ。

だから、自立してあの家を出るまでは我が儘は言わないと決めている。
両親にとって私が1番であるように。
私にとってもあの家は1番の宝物だ。


最近事務所でも力を入れてるアイドルグループのライブコンサートが25日那覇市で行われる。
その為に前日の今日、現地入りする。

「まどか、どこかに入って食べる時間無いから、コンビニでおにぎりでも買っとく?」
「うん」

代表取締役専務の母親は、事務所のスタッフと電話でやり取りしながらスケジュールを再確認する。