12月中旬。
すっかり目に映る景色が煌びやかになって、2学期の期末考査も終わり、漸く心に余裕ができた日曜日。

まどかは和香に誘われ、和香の推しメンが出演するという舞台を観に帝国劇場へと。
終始大興奮の和香につられ、久々にミュージカルを愉しんだまどかは和香と共に銀座の街へと繰り出した。

高校生というのもあって普段あまり訪れないそこは、クリスマスのイルミネーションに彩られ、高校生の2人にもほんの少し贅沢な気分を味わえるそんな街。
一足早いクリスマスということで、少し奮発して贅沢なランチに舌鼓を。

「まだ時間も早いし、雑貨屋さんでも見る?」
「そうだね」

ロングスカートにもこもこっとしたコートに包まれた和香と、ムートンのライダースコートにキュロットを合わせたまどか。
メイクも施し、大学生に見えるような仕上がりに、すれ違う若いサラリーマンの視線が注がれる。

ウィンドウショッピングを楽しむ2人。
久々に笑顔が弾け、テスト疲れを発散する。

「冬休みはグアムだったよね?」
「……ん」
「いいなぁ」
「毎年同じところだよ、飽きたっての」
「贅沢だよっ」
「……うん、分かってるんだけど、たまには違うとこに行きたい」

和香の両親の新婚旅行先だったらしくて。
元旦にグアムで挙式したこともあって、長瀬家は毎年年末年始はグアムで過ごしている。

「彼氏と年越し初詣するのが夢だけど、彼氏もいないし、日本にいれないし」
「和香ならすぐに彼氏できそうなのに、理想が高すぎるんだよっ」
「どうせ作ったとしても、親とさほど変わらない歳の人連れ帰ったら、速攻で反対しそうだしね」
「まぁ、そうかもしれないけど。社会人になったら、そこら辺は大目に見てくれるんじゃないかな~」
「まどかのうちみたいな両親だったらいいのに」