冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


学校から駅へと向かう道中。

「藤宮く~ん、また明日ぁ~」
「藤宮君っ、ばいばぁ~い」
「バイバイ、またね~」

声を掛けて来る女子に王子的スマイルを振りまく朝陽を横目に、廉は無表情で黙々と歩く。

廉にも声を掛けて来る女子はいるが、基本完全無視。
行く手を阻むように前に立ちはだかるようにして声を掛けて来る女子がいれば、速攻で塩対応。
それでもめげずに声を掛けて来る女子には、排除するかの如く、毒まみれの言葉が振り撒かれる。
なのに、廉の人気は一向に衰えず。

駅へと到着すると、近隣の高校の生徒もちらほらいて、2人にスマホを向けている。
本人の許可なく勝手に盗撮されることなんてしょっちゅう。

朝陽を盾に廉はそれらの視線から隠れるようにしていた、その時。
ホームにある自動販売機の向こうから、声が漏れて来た。

「あっちゃん、小森さんに本当に返さない気?」
「うん、だってあの上條君のジャージ着てたんだよ?しかも、一緒に帰るとかマジありえないんだけど」
「でも、試験前じゃん。普段の時ならまだしも、さすがにやり過ぎじゃない?」
「そう?返す返さないじゃなくて、いっそのことノート捨てて、失くしたって言おうかと思ってんだけど」
「はぁ?それやり過ぎだって」
「フフッ、いい気味じゃん。みんなの上條君を独り占めするのが悪いんだよ」

そういうことか。
俺が小森を助けたばかりに、小森に矛先が向いたわけだ。
これだから、女はうぜぇんだよ。

「廉、今の聞こえた?」
「あぁ」
「……どうするの?」
「どうするもこうするもねぇだろ」

朝陽にも会話が聞こえたようで、小声で声を掛けて来た。
そんな朝陽を一瞥して、会話の主の元へと。