体育教官室で頼まれていた雑用を終え、帰宅しようと玄関へと向かっていた上條の視界に、女子2人組について行く小森を捉えた。
明らかに異質な空気を纏っている。
小森が前を歩く2人と仲良く会話してるところを見たことが無い。
女子2人組はクラスでも派手目な部類に属する女子だ。
しかも、人気の無い西棟へと向かっている。
そういえば、あの2人、少し前の制服検査で言い合いしてた真島とよくつるんでる女子だ。
なるほどな。
あれを根に持って呼び出したのか。
しょうもねぇ奴らだな。
こっそり小森達の後をつけて行くと、案の定そこには真島がいた。
しかも、ホースを使って小森に大量の水を浴びせて……。
*
「あの……上條君っ」
「……お前、ホントに馬鹿なんだな」
「っ……」
「あんなの、放っておきゃぁいいだろ」
理科室の前から小森の腕を掴んで玄関へと向かう最中、すれ違う生徒の視線が小森に向けられている。
「ッ?!」
振り返った先に映ったのはブラウスが濡れて張り付き、完全に下着が透けている小森だった。
仕方なくリュックから体操着を取り出し、それを小森に被せた。
「ちょっと汗臭いかもだけど、着てろ」
緊張が解けたのか。
ジャージの襟元から顔を出した小森の目から、大粒の涙が零れ落ちた。
「俺が泣かしたみたいだから、泣き止め」
「っ……ごめんなさい、……それと、ありがと」



