チカ先輩のお気に入り。





次に聞かれた質問に、詰まってしまった。
あれ……なんの話してたんだっけ。

なにも、覚えてない。聞いてたはずなんだけど……。


「ほら、やっぱり様子おかしいね」

「えぇ…?」

「いつもなら雪桜ちゃん話はちゃんと聞いてくれてるでしょ。なのに、今は聞いてるつもりでも空っぽだよ」

「……」


チカ先輩の前では、絶対にいつも通りでいなくてはならない。
そう思ってたから、いつも通りでいたつもりなのに。

さっきからなにも聞いてなかったみたい。話が右の耳から左の耳に抜けてっちゃうんだ。


「なにかあったでしょ」

「え…っ、なにもないですよ!」

「本当に?」

「本当です!」


やだなぁ、なんて笑ってみせる。
言えるわけなくないか。
チカ先輩に言ったら、きっとすぐ解決してくれるけど。でも、できるだけ迷惑はかけたくない。私が…解決しないと。