チカ先輩のお気に入り。





きっと今、チカ先輩にバレたら私は─────


「あれ、雪桜ちゃん」


……巻き込まれるに決まってる。

引き返そうか悩んでいた時、ふとチカ先輩が顔を上げてこっちを見た。
かと思うと、私に気づき名前を呼んでくる。

それと同時に、女の先輩も私の方を振り返って。
……やばい、終わった。

チカ先輩はなぜかさっきよりも笑顔で。
そのまま女の先輩達の輪をぬけて私の元にやって来ようとしている。


「ちょ、ちょっと待ってよ知佳。今私たちと話途中でしょ」


そう言ってチカ先輩の腕をガシッと掴んだ一人の女の先輩。
そうだよね、会話中だよね。なのに私みたいな平凡な女を見つけて駆け寄ってくるなんて、おかしいよね。

女の先輩は動揺していて、他の先輩は私を睨んでいる。
やばい、私本当に終わったかも。


「君誰だっけ?話すことないから」

「はあ……っ!?」