チカ先輩のお気に入り。





ほかの先生と話している担任に声をかけると、思い出したように席を立った。

……忘れてたんかい。


「ちょっと待ってなー」

「はい」

「……よし、これこれ」

「ありがとうございます」


先生に渡されたプリントの束を受け取りお礼を言う。
そのプリントにはよく分からないことが書かれていて、理解するのをやめた。

そのまま職員室を出て、教室に戻ろうと歩いていると。


「きゃはは〜っ!」

「ねえ知佳〜?最近付き合い悪くない〜?」

「私と遊ぼうよ〜」


廊下の奥の方から何人かの高い声が聞こえて視線を向けると。
そこには、何人かのメイクが濃いめな美人さん達がいて。
上履きの色を見るに、二年生の先輩だ。

ん……?あれ、中心にいるのって……。
そんな美人さん達に囲まれているのは、どっからどう見てもチカ先輩だった。


「んー。ごめん、気分じゃないんだ」