見える未来に、目をつぶる。
「どういうこと……?知佳先輩が、なに?」
「えーっと……」
「話せやコラ」
「まって?怖すぎか?」
急にヤンキー口調になった花菜ちゃんに思わずつっこむ。
「とりあえず……髪結んでいいですか」
「えっ、三倉ちゃん髪結んじゃうの!?」
「え?」
私がそう言った瞬間。後ろから高すぎず低すぎない男の人の声がして振り向く。
「せっかく可愛いのに」
「ポニテの雪桜じゃ満足できないってこと?」
「いや、雰囲気変わって可愛いよっていう意味だっつーの」
「雪桜のこと口説くな」
「なんだよお前ら冷たすぎかよ……」
私の代わりに答えたまやちゃんと花菜ちゃんに、ブーブー口をとがらせた彼は。
私の後ろの席の三好伊緒(みよし いお)。
私と同じ"み"から始まるため番号が前後。
入学初日から誰とでも打ち解けていた彼は俗に言う陽キャだ。

