人差し指を私の唇に押し当てたチカ先輩は笑いながらそう言って。
大切にしたい、か。それってすごく嬉しい言葉だ。

それに私も慣れてなさすぎて、今はキス、とかの心の準備ができてないから。
私のことを考えてくれるのは、すごくありがたい。


「……今日は、だからね?」

「…っ、え」

「ははっ、ほんと可愛い」

「……っもう!」


意地悪すぎだよチカ先輩……っ!!
そうチカ先輩の肩を軽く叩く。

そのまま、ふと窓の外を見ると。
さっきまで降っていた雨が、弱くなってきていて。


「あ……雨止みそう」

「そうだね、ちゃんと止んだら帰ろうか」


ご両親が心配するからね、と笑ったチカ先輩に頷く。
でもなあ……少し、名残惜しいというか。
寂しかったりもするわけで。


「……」

「…大丈夫だよ」

「え?」

「送って行ってあげるから」